タパ(カパ)ができるまで 〜自然と心をつなぐ布づくり〜
ハワイでは、タパのことを『カパ(kapa)』と呼びます。
この布は、ただの布ではなく、自然から得た材料と、人々の手間と心が込められた、特別な存在です。
カパ作りは、まず『ワウケ(wauke)』という木の皮を採取することから始まります。樹皮を一枚のシート状に剥がし、内側の柔らかい部分(内皮)だけを取り出して水に浸し、柔らかくします。
その後、『クア・クク(kua kuku)』という木製の台の上で『イエ・クク(i’e kuku)』という四角い木の叩き棒を使って、繊維が広がるまで丁寧に叩きます。
この作業には力と時間、そして集中力が必要で、かつては女性たちが集まり、歌を歌いながら共同で作業を行っていました。
1枚のカパを作るために、何枚もの薄い繊維を重ね、接着し、丁寧に仕上げていきます。
完成した布には、植物染料やスタンプ、手描きなどで模様を加えることもあり、これらの模様には地域や家族、信仰にまつわる意味が込められることもあります。
こうして生まれたカパは、衣服や寝具としてだけでなく、王族への贈り物、神聖な儀式、結婚式や葬儀など、人生の大切な場面で使われてきました。
カパは自然の恵みと人の手仕事が重なり合って生まれる、文化と心を伝える布なのです。